Hi Betty!

いつだって覚えていない

余計なことに首を突っ込んで、案の定ろくでもないことに巻き込まれた夢主に怒って、クジャがちょっと手の込んだ性的な仕返しをするお話
(きっと、私が負けたら身体でもなんでも好きにしたら?とか言ったんだと思う)
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彼女は僕の指を咥え込み、喉の隙間から小さく声を発した。
さっきまで嫌だと喚いていた身体だとは思えないくらいに、そこは水音を響かせていた。
僕は彼女を掻き混ぜながら、赤く熟れた蕾を口に含んだ。
あらぬところを僕の眼前に晒し出しながら彼女は身体をびくりと震わせた。
それでも彼女の声は、きつく結んだ唇の奥に籠ったままだった。
僕への忠誠心と受け取ってもいいのだろうか。

今の僕は彼女にとっては僕ではなかった。
視界を塞がれた彼女は、見知らぬ場所でどこの誰かもわからない男に身体を思うままに弄ばれているのだ。
そのわりには、少々潤いすぎてはいるが、彼女を知り尽くした僕が犯人なのだから仕方がないのかもしれない。
僕の舌が蕾を転がす度に、彼女は僕の指を締めつけた。
彼女の腰は今にも求心的に揺れ動きそうだった。
衝動を揺さぶるがごとく僕は奥を刺激した。
大事なところがよく見えるように押さえつけていた足が苦しそうに痙攣していた。

「クジャ……、んん………」

彼女の口から僕の名前が溢れた瞬間、もっと意地悪をしてやりたくなった。
僕はたくさん可愛がった蕾にキスをして、彼女を四つん這いに這わせた。
小振りな臀部、そこから伸びるしなやかな腿は、罪悪感からなのか控えめではあるが与えられる快楽をほんの少し心待ちにしているかのように見えた。
僕はきめの細かい肌へと触れた。
柔らかなカーブに沿って唇を這わせ、腿の内側から上りつめるようにして濡れた場所から愛液を絡め取った。

-こんなことをされているのにね。

そう囁きたくなったが、言葉を押し込めた。
僕は再び彼女の中へと指を埋め、何度も奥を突いた。

「や、……あっ、だめ、……クジャ、やだぁ、……ごめんなさっ、あぁっ…!」

彼女がだめだめと首を横に振りながら、背中をしならせるのが堪らなく愛おしかった。
僕は糸が切れたように横たわる彼女に寄り添い、唇を重ねた。
彼女は僕を押し返そうとするが、力の入らない腕など簡単に絡めとることができた。

「僕が恋しかったかい?」

彼女を暗闇に閉じ込めていた、目隠しを解いた。
種明かしの瞬間はやけに解放的に感じられた。
安心したのか、意図せず悦に溺れ臍を噛む思いだったのか、あらわになった彼女の目元は濡れていた。

「なんで…!最初から全部っ…」

わずかに震えた癇声が口腔を抜け切る前に僕は唇を塞いだ。
彼女はやはり逃れようとするが、髪をすき、宥めるうちに次第に大人しくなった。
僕は飽きもせずに何度も唇を重ねては舌を絡め、吸ってを繰り返した。
こうしていれば、彼女は溺れて僕に身を任せるしかなくなる気がしたのだ。
仄暗い水底で抜け切らない彼女の微熱を頼りにゆっくりと感覚を奪っていく。
肌の温度、息遣い、それから心音。
全てが僕の手中に収まっていく感覚があった。

「ご想像の通り、全部僕が仕組んだことだよ。君が自分の身に起こりうる危険をわかっていないから。……まぁ、いろいろと文句はあるにせよ、今は君が欲しくて堪らないんだ。たとえ、別の誰かでも感じてしまう君でもね。」

水中の静寂から戻ったばかりだというのに、我ながらよくもまあつらつらと言葉が浮かぶものだった。
すっかり熱に浮かされた彼女は僕の胸元にもたれかかったまま、物悲しげに視線を逸らした。
僕は彼女の陰りに構うことなく閉じられた足を割り開いた。
彼女はされるがままだった。

「………嫌じゃないの?」

彼女は尋ねた。
僕は彼女の中へゆっくりと自身を沈めていく。
蕩けきったそこはいとも容易く僕を飲み込み、優しく包み込んだ。

「あんなに呼ばれたら、可愛くも思えてくるさ。」
「それは……」

朱色に染まった頬に手を伸ばすといじらしくも指先が絡め取られた。

「ねぇ、目隠しをされて見られるのは興奮したかい?」
「ちがっ…!」
「本当かな。その割には、いつもより濡れていたけれど。」

余った手で蕾を弾けば、彼女の身体も跳ね上がった。

「ひぁっ、違うのっ。…クジャみたいな手つきだったから……。」
「へぇ。」

僕は更に奥へと腰を押しつけた。

「……ほら、もうこんなに奥にいる。これからどうされたいんだい?」

彼女が欲しているものは明白だったが、潤んだ瞳はそんなことは言えるわけがないと僕に訴えかけていた。

「言わなきゃわからないよ。」

当然のことながら、いいように解釈して進めてやる気などさらさらなかった。
彼女が愛おしい反面、僕にはまだ恨みによく似た感情がしっかりと残っているのだ。

-君はいつだって僕の言ったことを覚えていない。

しばらく彼女は首を横に振ったり、シーツに顔を埋めたりしていたが、このままでは進まないことを理解したらしく、今にも消え入りそうな手つきで僕の胸板に手を置くと、かすかに濡れた唇を小さく開いた。

「……動いてほしいの。」

居た堪れずに目を伏せる彼女の手をとり、中指を口に含んだ。

「いいよ。だけど自分でも触るんだ。」

咄嗟に引っ込められた手を再度捕まえると蕾へと重ねさせた。

「そんなの無理……」
「君の愛してやまない僕がお願いしているのに?」

軽く茶化せば、彼女は眉を顰める。
しかし、結局のところは虚勢でしかなかった。

「やだ…、あっ、動かないで…、っあ、こっちも……」

自分ではできない彼女のために、軽く律動しながら彼女の手を円を描くように動かし、刺激してやる。
嫌だなんて言うものの、口から溢れる声にはたっぷりと色が含まれていた。

「ねぇ、僕のお願いを聞いてくれるかい?」
「っん…、できなっ……」

耳元で念を押すと、彼女は肩をびくつかせた。

「あぁ、もっとかな?」

今度は胸の頂へと親指を沿わせる。

「ゃあっ。」
「こんなに腰を動かして、僕のことを締めつけてるのに。」

絵に描いたように弄ばれる彼女の耳の縁に唇を落とし、ねっとりと舐め上げた。
彼女の中はもう我慢の限界だと言わんばかりに震えていた。

「もういらないっていうのなら、それでもいいけれど。」

極め付けに動きを止めて腰を引けば、彼女は動揺した表情で僕を見上げるが、逃れようのないことを悟ったのか、涙の溜まった瞼をぎゅっと閉じて、蕾の輪郭を指で辿った。
僕は戸惑いがちな彼女の細い指に目をやりながら、ギリギリまで抜いてゆっくりと中へと押し込んだ。

「んっ…」
「ほら、ちゃんと入ってるところを見ていなよ。」

僕は彼女の瞼をなぞり、後頭部に手を添える。
彼女はなされるがまま、こわごわとした様子で結合部を眺める。

「ここ、摘んでもっとよく見せて。」

示唆すれば、彼女はもうどうでもよくなったのか、素直に蕾を摘み上げ腰をくねらせた。
僕は堪らず律動を強めた。

「……っ!」

彼女は声にならない声をあげ、僕の首元に腕を回した。

「手を止めたら駄目だよ。」
「……無理っ」

本当はまだ乱れ咲くにも咲き切れない、いじらしい姿を眺めていたかったが、彼女は僕から離れられそうになかった。

「…もう、あんなこと、しないでっ。」
「なんだい?」

彼女が唐突に溢すので、聞き返す。

「…っ、…クジャじゃないと、いや、なのっ。」

彼女は上擦った声でやや投げやりに吐き捨てた。
あまり弱音を吐かない彼女がこんな風に縋るような発言をするのは珍しかった。

「悪くなさそうだったけれど?」
「やぁっ、あっ、やだっ、違うの!」

首を横に振る彼女は、駄々をこねる子供のようにも見えたが、それにしては些か女の顔をしすぎているように思えた。

「それなら、今度は僕の言うことを覚えていられるかい?」
「…今度、は?」

彼女は何のことかわからないようで、不思議そうに聞き返した。

-ほや、やっぱりね。

「愛おしい君に何かがあったら、僕がどう思うか少しは考えてみなよ。」

そろそろ限界が近いからか、口から出たのはいつもよりかなり直接的な表現だった。

「…っん?あっ、…クジャっ?えっと、…あぁ、…も、むりっ……!」

彼女は一人で混乱して、一人で僕を締めつけるだけ締めつけて達した。

-たぶん、次も覚えていないだろうね。

僕もその後すぐに自身の欲を吐き出した。



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おまけ

−次の日–
「ねぇ、ちゃんと謝って。」
「事の始まりは君だよ。」
「謝って。」
「…悪かったね。」
「反省してない。」
「…満更でもなかっただろうに。」
平手が入る
「…っ。…そうやってすぐ手を出す。」
「クジャだって同じじゃない。」
「へぇ、…なるほどね。」
「…いや、関心されても。」